おかげさまで令和3年(2021)全国新酒鑑評会において金賞受賞いたしました。全国新酒鑑評会は、独立行政法人酒類総合研究所と日本酒造組合中央会の共催になります。これもひとえに青森県産業技術センターの諸先生方の技術指導をはじめ青森県酒造組合の仲間との勉強会、弊社蔵人の和合により達成できたものと思います。そして普段応援して頂いている酒類販売店の皆様方・ブログを見て応援して頂いている方々の元気付けもあり受賞できたのだと思います。令和元年以来2年ぶりで平成13年以降トータル8回目の受賞になります。受賞した日本酒は「大吟醸稲村屋文四郎」になります。
令和3年全国新酒鑑評会の概要
令和3年全国新酒鑑評会の正式名は、「令和2酒造年度全国新酒鑑評会」になります。令和2酒造年度とは、令和2年7月1日~令和3年6月30日に製造された日本酒になります。酒造年度は、「しゅぞうねんど」と呼びます。英語ではBrewry Yearになります。略してBYと表示することになります。全国各地から821点の出品がありました。1酒造メーカー1点のみの出品になります。青森県の場合は令和3年3月11日に青森県新酒鑑評会を行いました。各メーカーはその時の審査評価を踏まえて、3月23日の持ち寄り研究会に数点の日本酒を持参して諸先生方に指導を受けてもらいます。この日本酒は可能性があるとかもう少しこういった日本酒があればそちらを出品した方が良いとか指導を頂きます。各メーカーは1点しか出品できないので非常に神経を張り詰めて作業をします。出品する日本酒が決まりましたら3月26日~4月1日の正午まで独立行政法人酒類総合研究所まで発送します。各メーカーそうだと思いますが、クール便で発送します。
令和3年全国新酒鑑評会審査
審査には各メーカー1点で500mlを4本発送します。こちらの4本は審査用になります。審査は「予審」と「決審」があります。予審で821点の中から約半分が「決審」に残ります。残ったものは「入賞」になります。こちらの「入賞酒」の中から「決審」で金賞が決まります。予審は4月20日から22日まで行われました。決審はゴールデンウイーク明けの5月11日から12日までで行われました。出品酒を発送してから決審までは1ヶ月以上あるのでその期間冷蔵庫に置かれても変化しない日本酒が望まれます。金賞受賞酒はおおむね上位30%の酒蔵が受賞します。おめでたい席なので数を数えてしまいました。全出品酒821点中207点が金賞受賞しました。そうすると約25.2%が金賞受賞でした。非常に名誉なことです。
令和3年全国新酒鑑評会入賞目録
令和3年全国新酒鑑評会(令和2酒造年度全国新酒鑑評会)の入賞目録は↓から入ってください。
青森県は、4社が金賞受賞で、2社が入賞になります。入賞酒とは、成績が優秀と認められた出品酒です。金賞酒とは、入賞酒のうち特に成績が優秀と認められた出品酒になります。
令和3年全国新酒鑑評会出品酒の詳細1
令和3年全国新酒鑑評会の出品酒は、アルコール添加の大吟醸になります。近年純米大吟醸で勝負する蔵が多くなってきていますが、鳴海醸造店ではアルコール添加の日本酒になります。使用している米は、兵庫県産の「山田錦」になります。精米歩合は40%になります。鳴海醸造店では一環して40%の精米歩合どまりです。場合によっては「華想い」の大吟醸の出来がよい場合は「華想い」で出品して「金賞受賞」したこともあります。たしかですが平成17年です。使用している酵母は、青森県の「まほろば吟」と「まほろば醇」のブレンドになります。今年の審査でも予審は、グルコース濃度ごとに区分を変えて審査ということでした。近年の鑑評会は、カプロン酸エチルが高かい香りのする日本酒程、グルコース濃度高くなければいけません。当社でもグルコースを高くするために高グルコースになる種麴を使用して酒造りを行いました。グルコースの測定機械がないために2日置きにグルコースを測る資料を摂取して弘前工業研究所へ持参しました。その時のアルコールの分析も必要になるのですが、一昨年から妻がアルコール分析を覚えてくれて私の手間も少しは省けました。鳴海醸造店のアルコール分析は蒸留という操作があるので通常よりも時間のかかる分析になります。
令和3年全国新酒鑑評会出品酒の詳細2
もっと令和3年全国新酒鑑評会出品酒のもっと細かいところをトクベツに記します。もろみ日数は29日目にアルコール添加してもめんの袋で吊して斗瓶に摂取しました。アルコール添加してから約30分後にその作業をしました。もめんの袋は60枚を使用しました。毎年新しいもめんの袋を購入しています。最初はもめんの袋を熱湯で煮る作業から始まります。その後医療用の洗剤に浸します。その後毎日念入りに洗濯をします。洗濯に使用する洗剤は、医療用の無臭の洗剤を使用しています。本年のカス歩合は47%です。残りの53%が日本酒になります。通常の商品はカス歩合は20~30%くらいです。今年は米が硬くて蒸米が溶けづらい傾向にありましたがそれでも多いですね!3万円くらいする山田錦を運賃をかけて兵庫県から輸送します。それを40%まで精米するので半分以上は削ってしまいます。また白米も水を吸いやすいので限定吸水とつきっきりで作業します。など手間暇がかかる作業が連続して行われます。
令和3年全国新酒鑑評会出品酒の詳細3
もめんの袋から垂れてくる日本酒は斗瓶5本に摂取しました。斗瓶に日本酒を摂取した後ですが、例年ですと4日目に澱引き(おりびき)、5日目に瓶火入れの作業ですが、今年はラッキーでした。例年よりも寒かったのでそれぞれの作業を1日早めることができました。それが金賞受賞の鍵。そればかりではありません。出品酒のデータですがアルコール分が17.4度、日本酒度が―0.5で酸度が1.45、アミノ酸が0.9でした。アミノ酸は低い方がよろしいです。アミノ酸が多いと広島に日本酒を発送してからお酒が変化する場合もあるからです。
令和3年全国新酒鑑評会金賞受賞看板
いよいよ受賞御礼の看板の出番がやってきました。
うわっ、早いとお思いの方もあると思いますが、なるみんマジックです。マジックっていっても油性マジックではありませんよ。以前も金賞受賞発表の日に看板が完成して早いと言われました。
従業員が一生懸命に看板を設置してくれました。道路も「石畳風」になりましたので「金賞酒」発売したら遊びに来てくださいね。
賞状が届きました。
賞状は令和3年7月7日に到着しました。
金賞受賞酒の発売はいつ?
こちらの画像も過去のものでイメージ写真です。
令和3年の金賞受賞酒の発売はホームページ上で発表させていただきます。日本酒の瓶に貼るシールなどの手配、そして手貼りによる作業や頭紙など諸々、製品にするには非常に時間がかかる商品になりますのでしばらくお待ちください。シールの入荷に合わせて発表いたします。
鳴海醸造店の日本酒の評価
こちらの内容は、令和3年6月23日に追記したものです。出品点数821点中、金賞酒207点に入ることが叶いました。出品酒の香味ですが、全体の平均を50とした時の鳴海醸造店のデータを示します。香りの良さ52、華やかさ51、味の良さ57、濃い44、あと味きれ53というバランスです。味の良さとあと味のきれが平均よりやや高い感じです。味が良くあと味きれがあるのは理想の日本酒と言えます。香りの特徴で予審において審査員2名以上が指摘された、鳴海醸造店の評価を示します。果実様香(りんご)カプロン酸エチルが6名、脂肪酸2名です。脂肪酸が多いとあまり良くないですが、香りの高い酵母は、どうしても脂肪酸が出やすいです。脂肪酸が敏感で好まない審査員もいますが2名止まりなら良しとしなければです。味の特徴で予審において審査員2名以上が指摘された、鳴海醸造店の評価を示します。まるい・なめらか2名、甘み5、渋み2名です。まるい・なめらか、甘みは良い評価です。渋みも強く感じる渋みではなく、味の特徴としての渋みなので良かったと思います。最後に鳴海醸造店の香気成分を示します。酢酸エチル38mg/l、酢酸イソアミル1.5mg/l、イソアミルアルコール87mg/l、E/A比1.8、カプロン酸エチル8.9mg/l、グルコース3.1g/100mlになります。酢酸エチル・酢酸イソアミル・イソアミルアルコールは、全国平均より低めです。カプロン酸エチルの全国平均が6.9なので当社は高めです。グルコースの全国平均が2.7なのでこちらも高めです。来年度もこのデータを活用して2連覇を目指したいです。
さいごに
鳴海醸造店は小さい蔵で設備も整っていない酒造店になります。設備がなくともいいものを造りたいとの想いが叶いました。この度の受賞に際してたくさんの皆様方からお祝いのメッセージを頂戴致しました。この場をもって感謝申し上げます。また今回の受賞を励みに更なる酒造技術研鑽に務めて頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。鳴海醸造店杜氏兼社長鳴海信宏。
創業文化三年、津軽の風土が醸した希少な美酒の数々を。
青森の地酒 菊乃井 稲村屋文四郎 稲村屋
株式会社鳴海醸造店
杜氏兼社長 鳴海信宏
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