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日本酒ができるまで 地酒菊乃井

日本酒・菊乃井はどのようにして造られているのでしょうか?
嚙み砕いてご説明します!

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【製造計画】
菊乃井(きくのい)の蔵見学に来た人によく聞かれるのですが、「タンクがたくさんありますね」。数を数えてたくさん造るんですね!?違います。一年間に出荷する移出量に合わせて商品ごとに計画を立てて造るのです。大きく分けと純米系(原材料が、米・米麹のみのもの)、アルコール添加系(原材料が、米・米麹・醸造アルコール)があります。米の品種も青森県の酒造好適米は、「華吹雪」「華想い」「華さやか」があり精米歩合の違い・酵母の違い・温度経過の違いなどその目的の酒質に合わせて計画されます。
青森県で日本酒を造っているので地元の酒米・酵母・水をできるだけ使用して仕込んでいます。また、働き手は地元「黒石市」「平川市」の従業員で作業しています。
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【原材料】
まず、原料は米です。米はうるち米(飯米)ではなく酒造好適米(以下:酒米)と言って日本酒専用のお米があるんです。酒造好適米は食べてはあまり美味しくないが、うるち米に比べて米粒が大きく心白(しんぱく)と言って麹菌が入りやすいように米の中心に存在します。酒米はタンパク質が少ないものが好まれます。タンパク質が多いと日本酒もアミノ酸が多くなるからです。一反歩当たりの収量をあげようと肥料を沢山やるとタンパク質は多くなる傾向にあります。
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【仕込水】
日本酒のの80%は水が原料になります。昔は水が良い場所を探してそこに工場を建て営業するというスタンスが特に多かったように思われます。軟水・硬水(カルシュウム・マグネシウムの含量の大小による)によっても日本酒のタイプは変わってきます。
弊社は、鳴海醸造店敷地内の井戸水で日本酒を仕込んでいます。八甲田山系の水になり非常に軟水で柔らかい水になります。
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【精米】
昔は、自社の精米場がありそこで精米をしていました。委託精米だと無効精米歩合といってお願いした精米とのずれが生じメーカーと酒造業とのトラブルが絶えなかったと聞いています。近年コンピューター精米機が発達してより精度の高い技術で精米することが出来ましたので委託精米をして頂いています。
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【洗米】
洗米とは、名前のごとく米を洗うことです。米の表面に着いた糠(ヌカ)を取ることで第二の精米とも言います。

洗米機

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【浸漬(しんせき)】
浸漬とは、白米に水分を吸水させることを言います。酒造りをする工程で麹米と掛米がありますが、麹米は掛米よりやや多めに水分を吸水させます。大吟醸・純米吟醸などの精米歩合の低いもの、50%以下のものは弊社ではストップウォッチを使用して限定吸水を行っています。精米歩合が低くなると水分の吸水も早くなります。その年により米の軟質が変化しますので、予備試験を行ってから本試験をしています。

吟醸用の酒米の浸漬の様子。

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【蒸し】
米は炊くのでは無く、蒸します。強く十分な蒸気で蒸しあげます。弊社では和釜の上に甑(こしき)をのせて、それに白米を入れて蒸します。上の方から蒸気が噴き出てから50分でバーナーの火を止めます。

甑で蒸上がりの様子

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【放冷】
蒸米は、目的の温度まで冷まします。麹米はやや高めで掛米は、酒母・初添・仲添・留添(のちに詳しく説明)によって温度を変えて冷まします。吟醸クラスの商品は自然放冷で行っています。その他は蒸米放冷機を使用して放冷しています。

写真手前が放冷機。外気の冷気を吸って、ダクトから熱い空気を放出。

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【麹(こうじ)】
麹は、蒸米に麹菌(黄麹菌)を振り32℃以上の麹室(むろ)の中で約3日かけて、酒造りに合う麹を作ります。スーパーで販売している麹は米粒と米粒が菌糸でくっ付いていますが、酒造りの麹はバラ麹と言って米粒の表面と米の中心に向かって菌糸が伸びていっています。酒造りの中では、蒸米のデンプンをブドウ糖に代える重要な役割を持っています。
ブドウ糖に代えてあげないと酵母が育たないから!
例えて言いますと!ワインはぶどうを搾るとブドウ糖があるので酵母を加えますと発酵してお酒が出来ます。蒸米のデンプンをブドウ糖に代える役割が麹の酵素なのです。人間も唾液の酵素によりブドウ糖に代え体に吸収しているのです。

麹つくりの「オリタ」での手法

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【酒母】
蒸米に水・麹・酵母を加えたもの。総米(全体に使用する白米)の約7%が酒母の仕込。この酒母の期間に酵母をたくさん増やして大きいタンクに備えている。速醸酒母・中温糖化酒母・高温糖化酒母・山廃酒母・生もと酒母・稀薄酒母などたくさんの造り方がある。
菊乃井では、長年速醸酒母を行ってきましたが、近年は中温糖化酒母で仕込んでいます。
酒母の出来の良さがそのまま「もろみ」の出来の良さにつながる重要な役割をもちます。

酒母タンクの様子。地面から冷え込まないようにマットを巻いています。

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【三段仕込み】
三段仕込とは、初添仕込・仲添仕込・留添仕込と三段に分けることから名付けられた。
その割合はおおよそ1:2:3で徐々に仕込む量が増えていきます。初添の総米は酒母総米の約2倍の量になる。初添の総米を増やして留添の総米を減らすと沸き進め型(酵母が盛んになり早く日本酒が出来る)となり、反対の場合は沸きおさえ型(発酵が緩やか)となる。あまり早く日本酒が出来ても薄っぺらな淡泊な味になり、遅く出来てもくどくなる場合があります。その年の米の性質(溶けやすい・溶けづらいなど)、温度、湿度などを考慮して計画されます。弊社では、酒母を中くらいのタンクに移動して初添を仕込ます。
一日酵母の活性を促す「踊」という経過があります。酵母が増えたところで仲添・留添と仕込でいきます。留仕込が終わり「醪(もろみ)」の期間となります。留仕込してからおおよそ20日から25日で予定のアルコールと甘辛になった時搾ります。大吟醸になると最高温度を低めに抑えるので30日前後となります。

醪に櫂入れをしている様子。

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【醪(もろみ)】
日本酒は並行複発酵!大学時代に勉強しましたが、自分自身のためにも改めて説明致します。先ほども申し上げましたが、醪の中では麹の酵素がブドウ糖を作る「糖化」と酵母がブドウ糖を食べてアルコールを出す「発酵」というのが一つのタンクで繰り出されています。状貌(見た目)、温度、香りだけでは判断できないために資料を摂取して分析を行って経過を判断します。温度の上げ下げ、または酵母の勢いを増すために追水(おいみず)の作業をします。弊社では温度管理はマットを巻く、剥ぐ、マットを下げるなどの原始的な手法で作業を行っています。

吟醸用のタンクでの様子

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【上槽(じょうそう)】
上槽とは、搾る作業のことを言います。弊社では薮田という機械を使用しています。
機械にもろみをポンプで送り、徐々に空気で圧力をかけて搾ります。
これで日本酒と酒粕に分かれます。粕歩合(粕の割合)は25~35%です。粕を少なくすると造り酒屋は儲かりますが、発酵を進めすぎてアルコール度数が高く、粕が少なければお酒もそれなりになります。ちょうど良い頃合いがある話です。
鑑評会出品酒などの商品は、実は木綿の袋にもろみを入れて自然と落下するものを摂取して斗瓶にいれ、澱(おり)が沈んでから澱をひいて瓶に移し替えして火入れ、急冷して冷蔵庫で保存という形になります。

上槽の場所。中央の空間にゴム版状のものと鉄板状のものが交互に入る。(袋を被せた状態で)

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【ろ過】
搾ったばかりの日本酒は、澱などの成分が残っています。そのままの状態で瓶詰めしたものは無濾過生原酒などの商品で商品を出しています。しかし、冷蔵庫で貯蔵などしっかりとした商品管理が必要となります。昔は活性炭を使用してのろ過が主流でしたが、現在は素ろ過と言ってSFフィルターなどの中空糸を通して一回火入れ瓶詰めなど行っている蔵が多く見られます。
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【火入れ】
酒造りには麹を使用しますが、麹の酵素を失活させるのが一番の目的だと思います。お酒の温度を65℃以上に上げてこの操作をします。あまり上げ過ぎるとお酒の酒質が崩れます。温度が低いと火落ち菌の繁殖など悪影響を及ぼす危険性もあります。
また、殺菌の意味があります。昔は、搾ったお酒をろ過して、タンクに火入れして熟成させて、瓶詰め前にろ過して瓶詰め時にもう一回火入れすることが多かったです。
現在では精米歩合が低い商品ほど搾ってから早めに一回火入れして瓶詰めして冷蔵庫で保存が主流になってきています。

火入れをする時に使用するステンレス製の蛇管

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過去のアーカイブ

【火入れとは】

お酒の「火入れ」とは?

創業文化三年、津軽の風土が醸した希少な美酒の数々を。

青森の地酒 菊乃井 稲村屋文四郎 稲村屋

株式会社鳴海醸造店

杜氏兼社長 鳴海信宏