日本酒の火入れとはどんなものなのでしょうか?今回は、日本酒の「火入れ」に関するお話をさせて頂きます。読み方は「ひいれ」です。分かりやすく言うと「火入れ」=「加熱処理」ですね。麹(こうじ)は、白米を蒸したものに麹菌を振りつくられます。麹は、α-アミラーゼ・グルコアミラーゼ・酸性カルボキシキペプチダーゼなど様々な酵素を保有しています。この酵素により蒸米のデンプンをブドウ糖に変えることを「糖化」と言います。糖化したブドウ糖を酵母が食べて発酵して初めてお酒になります。分かりやすく言えば、ワインはぶどう自体にブドウ糖が含まれているので酵母を添加すれば発酵してお酒になります。麹の酵素は、日本酒を発酵する過程においては十二分に必要ですが、もろみを搾って日本酒と酒粕に分けたら必要なくなるのです。そこで火入れを行い、酵素の失活をします。この時の温度は65℃以上で行っております。
鳴海醸造店火入れ時に使用する蛇管
鳴海醸造店の場合、火入れに使用するステンレス製の蛇管です。
和釜に水を張り、中にステンレス製の蛇管を入れて、重油バーナーでお湯を沸かし蛇管にお酒を通して火入れを行います。火入れしたお酒は、タンクで受けて急冷して貯蔵します。貯蔵したお酒は出荷前に濾過をして瓶詰め時に再度65℃以上で火入れ(加熱処理)されてから瓶詰めされます。そうすると2回火入れされることになりますね。
ラベル表示に「生酒」・「生原酒」
表示に【生酒】【生原酒】などの表示がある商品は、全く加熱処理されていないものです。酵素が生きているので冷蔵庫に入れて酵素の働きを抑える必要があります。余談ですが弊社では、生酒はマイナス5度で管理しております。
ラベル表示に「生貯蔵酒」
表示に【生貯蔵酒】の表示がある場合は生酒を貯蔵して瓶詰め時に一回火入れしたもので生酒のフレッシュな風味が保たれている商品になります。
ラベル表示に「生詰」
表示に【生詰】の表示がある場合、上記蛇管で火入れしタンクで受けたものを瓶詰め時に熱処理なしで詰めたものを言います。
非常にややこしいですね。
弊社の純米大吟醸稲村屋文四郎・大吟醸稲村屋文四郎は、生貯蔵の表示はありませんが一回火入れの商品になります。
稲村屋文四郎 https://narumijozoten.com/bunshiro/
稲村屋〇〇〇生原酒無垢は、全く加熱処理していません。その他稲村屋シリーズは、生貯蔵の表示はありませんが一回火入れの商品になります。
稲村屋 https://narumijozoten.com/inamuraya/
菊乃井しぼりたて生原酒ヌーボー・菊乃井純米吟醸初しぼり生原酒中汲み久〇・菊乃井純米吟醸かすみにごり酒は全く加熱処理していません。その他菊乃井シリーズ、大吟醸・純米大吟醸・純米吟醸各種は、生貯蔵の表示はありませんが一回火入れの商品になります。
菊乃井 https://narumijozoten.com/kikunoi/
より美味しいお酒を追求して提供して行きたいと思いますので応援お願い致します。
プレートヒーターで火入れ
この他にプレートヒーターで日本酒を殺菌する方法もあります。鳴海醸造店の現在ではこの設備がありません。今現在ボイラー設備がありません。ボイラーの設備をしてプレートヒーターを購入したら実現できますが、設備投資にもう少し時間がかかると思います。売上を伸ばして努力したいと思います。
創業文化三年、津軽の風土が醸した希少な美酒の数々を。
青森の地酒 菊乃井 稲村屋文四郎 稲村屋
株式会社鳴海醸造店
杜氏兼社長 鳴海信宏